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読書百遍 其義自見
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先の記事つながりでどうしてもハッキリさせておかねばならないので、「定義」という概念について考えてみよう。



前にも等号の論理的な用法について同じような考察を展開した。
「AとBが等しい」ことを示す等号はいかにも論理的に厳密な「定義」を与えられているようであるが、しかしそうではない。
等号はある2つの概念が等しいことを表す概念であるが、単に「等しい」と言われるとき、その対象となる概念の構成要素には一切触れられていない。
では、一体何が等しいことを保証しているのだろうか?

この疑問に例えば「1 = 1であることは自明であるから、等しいという概念は自明であると言って良い」という反論があるかもしれない。
しかし、この場合の「等しい」はwell-definedではない。
整数同士の「等しい」という関係が、論理的に扱われ得るあらゆる対象についても同様であると勘違いすることによって、このような誤謬が生じているのだ。

従って、一般的にある2つの対象について「等しい」と言うことは、「互いの構成要素が全て自明であって」「それらの間のあらゆる可能な関係について自明に等しいと言える」ことと同義である。
そしてこの二条件の両方が満たされていない場合には「等しい」という概念は自明ではない。
このような考察によって、「等しい」ことを「定義する」ことの意味もまた明らかとなる。



それでは、「定義」と言う概念はどのように定義されるのだろうか?
これは実際には循環論法ではない。「定義」という概念と「定義する」ということは全く異なる。
厳密に言えば前者は「それぞれの対象の構成要素についての関係」、後者は「それぞれの対象の構成要素についての関係の確定」である。
ここでは同じ言葉を用いる煩わしさを避けるために、前者を単に「関係」と表す。

注意せねばならないのは、「定義する」という文脈における「それぞれの対象」自体が「関係」という概念における「それぞれの対象の構成要素についての関係」であるということだ。このような理解がなければ依然として循環論法であると勘違いすることになる。

つまり「定義する」ことは文脈的には「AとBの諸関係についての関係の確定」と表現される。
ここでAとBの諸関係は対象の取り方に依存するが、諸関係の間の関係は対象の取り方には依存しない
もし後者を対象の取り方に依存すると解釈すれば、「定義する」という概念は専ら特定の二対象についてのみ言及し得ることになる。端的に言えば、「AをBと定義する」と「AをCと定義する」の2つの文脈における「定義する」は同じ言葉で表される別概念だと結論できる。
対象Bにとって対象Cは「定義されていない」のだ。

これは通常の用法における「定義する」の意味を考えれば矛盾している。
従って、対象の諸関係の間の関係は対象の取り方には依存しないのであるが、この事実を考慮した「定義する」は何を意味するだろうか?

対象の諸関係はその取り方に依存するから、「定義する」という概念の範疇ではない。
むしろ諸関係の間の関係こそ「定義する」ことの本質なのである。



機械論が諸概念を「定義する」ことを問題としないのは、そのような諸関係の間の関係そのものを対象に内在させるというやり方で対象の構成要素を構築しているからだ。
そしてこのやり方は、「定義する」ことを対象に関する考察に先行させる限り、一切根拠のない空想となる。
全ては対象に関する考察によって「定義する」ことが行われるべきであり、このことは機械論に限った話ではない。

逆に考察に先行して「定義する」ことが行われるならば、その論者は自ら自己矛盾を抱え得る。
そしてそのことには決して気づかず、何故そのような矛盾が起こるのかを永遠に考え続けることになるのだ。
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