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最後に実体の定義を大まかに定めて、一連の考察の結びとする。



§5 実体の所在

まず、実体とは何か。
以上の考察を元にして純粋に形式的に言えば、理論を使用する際、その仕方によって定まる適当な条件下で「新たな構造」を発生させる現象である。
副体や干渉を新たに定めることは明らかに該当するが、しかしそれ以上具体的に何をもって新たな構造とするかは考察が及んでいない範囲である。
抽象的な軸を別のものに置き換えて副体を具体化することは実体の活動と見なせるのか?
もっと具体的に、抽象的な情報の性質を具体化することもそうなのか?
あるいは、これは一般的に決定できない問題かもしれない。

今のところ確実に言えるのは、実体の活動は、その実体の理論における使われ方によって制限されるということである。
例えば理論があくまでも対象の自然な状態を模倣するために使用されるならば、上の2件はどちらも実体の活動として認められない。現在において既に存在するものが、別のものにすり替わることがあってはならないからだ。
しかし理論の対象に変更を加える目的で使用されるなら、このようなことはあり得るだろう。

つまり実体の活動のあらましを把握するには、これがどのような使われ方をするのか、ある程度は分類しておく必要がある。
その前に、実体の使われ方の事を機序と呼ぶことにするので、あらかじめ確認を取っておく。
これは一般に使われる語ではないし、副体の領域とも被らない。何より副体と実体で用語を分けておくことは重要なのである。

今分類すると表現したが、これは順を追って挙げるような性質のものではないので、まずは以下にまとめておく。

・選択的機序
・固有的機序
・因果的機序

選択的機序は実体の解釈において最も抽象的なものであり、理論において可能な活動を一切制限しない。
理論を形成する際、大前提とされる副体や干渉の自由な仮定は、この選択的機序が理論と矛盾しない限りこの機序によって成立する。

固有的機序はまさに元来の治療学におけるイメージの実体である。
固有的機序では実体の現象が与える影響の及ぶ範囲を定め、この範囲をまたいだ現象は発生し得ないものとする。
副体レベルでは考察中にも書いた通り、抽象的な軸を定めることによって同様のことが可能だが、こちらはより強力である。
つまり、これによって定められている範囲を超えた影響は、副体による干渉を通してしか現れないことを保証する。
任意の副体間に他とは完全に独立な軸を与えて、この範囲を機序によって定めるならば、この二者は与えられた軸において他の副体とは実体レベルで独立している。

因果的機序理論によって現実を表す場合に自然に見出される機序である。
これによれば、実体の活動は副体や干渉を原因として、その結果発生する現象である。
必然的に実体の活動は副体によって制限される。これはいわゆる副体の自然な状態を表すのに最も都合が良い。

これら3つを純粋に意味論的に解釈すれば、固有的機序では実体が副体を定め、因果的機序では副体が実体を定めている。そして選択的機序は互いに独立である。
しかしこれらはあくまでも一般的な使用において共通に見出されるであろう機序であって、排他的な定義ではない

例えば、固有的機序を理論の主軸としておき、例外的な場合を選択的機序で説明するといった使い方も出来るのである。
これはタルパーに馴染みのある例で言えば、タルパの創造点を上手く説明するだろう。因果的機序のような働きだけではタルパの創造点を上手く定義することが出来ないのは治療学でもそうであったとおりだ。

次に、理論においてこれらの機序を利用する目的について考察してみる。
目的というのは、ある対象を理論によって表す際の目的のことである。

選択的機序では副体に任意の関係を持ち込むことが出来るが、副体とは完全に独立しているので副体や干渉の自然な発生を一切仮定することが出来ない。つまり、理論に必要な構造は全て論者が用意しなければならない
このような性質はあくまでも対象を機械的に把握したい場合に便利である。

固有的機序では任意個の副体を1つの存在と見なし、実体の活動をその範囲内に制限する。
副体の軸によってもやはり同様のことが言えるが、全く関係性のない二存在についての関係を想定したい場合がある。
普通このような関係にある二存在は軸によって何かしらの関係性を持つと解釈すべきだが、厳密にこの観点から個別具体的な考察を行うと、往々にして関係のない第三者の副体が干渉する余地が出てしまうのだ。
何らかの形でそのような余地が無いと決定できる場合に、それを理論の前提とするのが固有的機序である。
従って、固有的機序は副体を分類的な視点から考察する場合に使用される。

因果的機序は専ら継時的な副体の変化を表す。この理論における干渉に時間の概念は存在しないが、現実の干渉にはある種の時間の流れが存在する。
ここで実体もこの流れに従うと仮定するのが因果的機序である。
必然的に副体や干渉の発生には何らかの原因が存在すると解釈できるが、これは現実と合致しているだろう。
この機序は他より制約が強く、単純な考察では対象の全てを表せるとは限らないが、少なくとも対象の最も自然な状態における変化を扱うことが出来る。

上の3件が実体を使用する主な目的なのだが、この中で個別具体的な場合においても考察の対象となり得るものがある。
無論、これは因果的機序のことだ。副体や干渉に従って実体が活動するのだから、その副体などの具体的な構造によって実体の活動が変化すると考えるのはもっともである。
そして実際にも、これはその通りであるように思える。
他の2つは理論の前提か、必要になった時点で逐次使用されるものであるのに対し、因果的機序は常に副体から影響を受けて理論に変化を与えるからだ。

最後に、実体と副体との関係性についていくらか触れておきたい。
これは一般的に定義することは不可能だが、理論の形成における当然の傾向から次の3つの言明が可能である。

実体の活動によって発生する存在や現象自体は理論と矛盾しない
理論と矛盾するようなものは実体ではないということも出来る。
主たる例として、いかなる軸にも属さない情報、いかなる副体にも属さない軸。これらはそれぞれ軸や副体に属する概念であり、単体では存在し得ない。より具体的には、どんな副体も属さない干渉場は存在しない、など。
逆に言えば、矛盾さえしなければ因果律を破るような活動もあり得る。
選択的機序や固有的機序においては、実体による副体の発生に完全なランダム性を仮定したり、因果関係が時間的に前後するような実体の活動は可能である。

実体の活動は時間的広がりを持たない
副体にとって、実体の活動による影響はある時点において発生し完結する。これは副体に対して実体そのものが継時的な影響を及ぼすことはできないことを示している。
それが可能であるならば、一体この影響の時間的な連続性を定めているものは何なのだろうか?
実体に時間的広がりを仮定することは、謎を説明するのにより大きな謎を持ち出すような意味の無い論理である。

実体は形式的には構造を持たない
これは実体による別々の活動の間には何の関係性も見出すことは出来ないという意味だ。
しかし形式的には構造を持たないにせよ、副体との関係性によって意味的には何かしらの構造を持ち得ると解釈できる。
例えば軸による集約/分解の関係にある二者について、固有的機序による実体の活動範囲が別個に定まっているならば、対応する実体の活動もまた集約/分解関係を模した構造を持っていると言えるだろう。
ただし形式的には実体の活動は構造を持たないのだから、あくまでも副体を通して実体の活動を意味的に解釈する場合にこのような表現が可能だというだけである。
現実における何らかの構造を理論において説明するなら、それは全て副体の構造によって表現される。

ところでこの3つの言明から、論者が理論を適用する際に従うべき普遍的な法則を見出せる。
つまり、副体によって説明できることは可能な限り副体によって説明されるべきだろう。

結局のところ実体というのは副体では説明できない現象のことであって、これが現実にあり得ると解釈できるにせよ、だからと言って対象の考察を打ち切っていい理由にはならない。
あくまでも論者は対象を副体レベルで把握、即ちその具体的な性質や持ち得る情報についての詳細な考察を限界まで試みる必要があるということだ。
そうして初めて、この理論に則った考察は現実的な価値を持つ資産となるのだ。



さて、随分と長文になってしまったが、タルパ機械論の考察はひとまず終了である。
かつて感覚化理論による数式化の際に触れたように、今回もタルパ論のより広範な概念を定義することに終始した。

今後はこの理論をタルパに適用するために必要な概念、とりわけ実体の因果的機序について少し考察を深めた後、タルパにおける各概念に適用していく。

もちろんさらに個別具体的なケース、例えばブログで触れたダイブ共有や、ペンライト自身のタルパやダイブ界についての考察を試みるつもりである。

いずれにせよ、この理論に与えられた役割はあらゆる存在や関連性を数式によって機械的に把握できるようにすること。
深い考察や数々の実験を通して、抽象的な関係性から個別具体的な法則を見出すことがタルパ機械論の意義だと言って良いだろう。
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